ご夫婦それぞれのこだわりや希望を話せば話すほど、「ふたりでひとつの家族」という印象を受け、また、建物のカタチ自体も対をなしているように見えることから、「双」というネーミングを付けました。「双子」「双璧」の「双」という字は、「対」を意味すると同時に「一緒」という意味合いもあります。漢字のカタチをよくみると「又」と「ヌ」ですこし違うのも興味深いですね。たとえばご主人の希望では、客人と酒を飲みながら語らうような和室がほしいという話。玄関からすぐのリビング空間に畳を配置するよう提案しました。仏壇を格納する仕様で手を合わせることもできます。奥様の希望でいうと縁側に腰かけて木を眺めてお団子でも食べられたらいいなという話。季節の移ろいを愛でる中庭はきっと年を経るごとに豊かな時間を提供してくれるでしょう。僕たちの仕事は限られた面積で必要なスペックを設計するだけではありません。どれだけ豊かさを積み重ねられるか。その提案をするときはいつでもワクワクします。
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